-
肺高血圧症
2019.03.07こんにちは。
循環器科担当させていただいている水野です。
本日は先日診療させていただいた症例のご紹介です
レオンちゃんは9歳のペキニーズで、1月終わりにベランダで倒れてしまったとのことで当院を受診されました。当初は神経性の発作を疑い治療しておりましたが、呼吸促迫となり、レントゲンで肺水腫が疑われる所見も認められたため、循環器科を受診していただきました。
私が診療させていただいた時には利尿剤の投与によりレントゲン所見は改善していたものの、食欲はなく食事補助をご自宅でしていただいている状態でした。
心エコー検査をさせていただいたところ右心系の拡大(右心室壁の肥厚と内腔の拡大)、心室中隔の扁平化、肺動脈の拡張所見が認められました。またカラードプラー検査では顕著な三尖弁逆流が認められ、肺動脈血流速波形のAT/ETは低下、三尖弁逆流血流速は4.2m/sと高速化しておりました。以上の検査結果及び倒れた後のふらつき(発作後期)がないことから肺高血圧症による失神発作と診断いたしました。
もともと飲んでいたフロセミドとピモベンダンに加えて、肺高血圧症に対する治療薬であるシルデナフィルを追加処方したところ、2週間後の再診時にはよく眠れるようになり、食欲も出てきて経過良好とのことです。(^^)
いわゆる発作は神経疾患、低血糖、腫瘍性疾患、肝臓病、不整脈、心臓病など様々な原因で起こります。今回させていただいたような検査により原因がわかることもありますが、発作を起こした時の状況(興奮時に起こったのか、興奮とは関連がまったくないのか、食後に起こったのか、咳をした後なのか?など)やどのような発作だったのか(意識はあったのか、足はつっぱっていたのか、震えがあったのか、発作後のふらつきは?など)という飼い主様からの情報が診断や治療に非常に大切です。
発作を起こした時にはあわててしまってなかなか難しいとは思いますが、発作時の状況を記録しておく、あるいはスマートフォンでビデオを撮影するなど記録を残しておいてお見せいただけると非常に助かります。
心臓病も早期の診断・治療が大切です。今回のレオンちゃんのような重篤なケースだけではなく、咳が出てきた、最近活動性が落ちたなど、心臓の調子がおかしいのかな?と思われることがございましたらいつでもご相談ください。
Special blog