循環器科担当の水野です。こんにちは
本日の診察では僧帽弁閉鎖不全症に罹患した犬が多く来院しました。
この病気を診させていただいていると、「心臓病となったということは散歩も控えた方がいいでしょうか?」というご質問をよくいただきます。
これについては厳密にいうと運動させた群とさせなかった群を比較検討した報告がない為、
残念ながら絶対に正しいと言える答えは持ち合わせておりません。
運動制限すれば心拍や血圧の変動が最小限となり、心臓単体で見るとこの病気の悪化は遅らせることができるかもしれません。
しかしながら、安易に運動制限すると筋力や体力の低下を招き、老化や虚弱を加速させ、まだ心不全にもいたっていない子については、体全体を考えるとむしろ悪影響の方が多いのではないかと個人的には考えています。
ですから、心臓病になっていても重症でない子については、このようなご質問を受けた場合には、可能な限り今までと同様の生活を送るように心がけていただき、ご家族がついていける範囲内での運動はむしろ制限しないほうがいいのではないかとお伝えするようにしております。
※心不全になる可能性が高い状況においてはこの限りではありませんので、その時はそうお伝えさせていただきますのでご確認くださいね。
心臓病についてはしっかり検査を受けていただいて状態をできるだけ正確に把握させていただいて上で、ペットとそのご家族ができる限り幸せな生活を送れるようこれからもサポートしていきたいと思った1日でした。
こんにちは。皮膚科を担当している吉田昌則です。
皮膚科ではアレルギー性の皮膚病の治療には、しばしばステロイド剤が使われますが、このステロイド剤はとても治療効果が高い反面、ちょっと効き過ぎてしまうと、むしろ皮膚の症状が悪化してしまうことがあります。
そういう意味ではステロイド剤は、ちょっと怖い薬かもしれません。
しかし、必要以上に恐れることないです。むしろステロイド剤を使用しないと、もっと皮膚病が複雑になってしまい治療がより困難になってしまう事もありますし、もし使用する事でステロイド剤の悪影響が出てしまったとしても、その後に適切な処置をすれば皮膚の状態は戻ります。
このワンちゃんは耳の皮膚病の治療としてステロイド剤の塗り薬を使用していましたが、薬を塗っていた場所の毛が抜けてきてしまったという事で来院されました。
初診時です。ほとんど毛が無くなってしまっています。
このワンちゃんは、皮膚の痒みに配慮しながら、ステロイド剤の塗る回数を減らしていきました。
それから、1ヶ月後。特に痒みもなく、耳の毛もうっすら生えてきました。
先ほども書きましたが、ステロイド剤はすぐ効果が現れるのでとても使いやすい薬ですが、ちょっと油断すると悪影響が出てしまうことがありますので、獣医師の診察をしっかり受けながら適切に使用してください。
アレルギー性皮膚炎、食餌アレルギー、アトピー性皮膚炎……
皮膚病の診察でよく聞く病名ですが、この3つの皮膚病の違いをちゃんと説明しようとすると意外と難しいかもしれません。
一般的には、痒みの発症に免疫反応が関与すると考えられている皮膚病をまとめて「アレルギー性皮膚炎」と言い、「食餌アレルギー」と「アトピー性性皮膚炎」は、その「アレルギー性皮膚炎」と呼ばれる皮膚病の中の1つと考えられています。
(正確には「アトピー性皮膚炎」は人での病名なので、似たような皮膚病が犬で発症した場合には「犬アトピー性皮膚炎」と呼びます。また猫ではアトピー性皮膚炎という病名自体が存在しないですが、ここではまとめて「アトピー性皮膚炎」とします)
さて、この食餌アレルギーとアトピー性皮膚炎という皮膚病はなかなか厄介で、見た目の症状がよく似ているので、普通に診察しただけでは正確に診断することが困難です。
現在のところ、この2つの皮膚病を鑑別するために最も有効と言われているのが、「除去食試験」と呼ばれる診断方法です。
除去食試験とは、食餌アレルギーを発症させにくい「除去食」と呼ばれる食餌を食べさせて、もし皮膚病が治ったら「食餌アレルギー」、治らなければ「アトピー性皮膚炎」というように診断する検査です。
このように書くと、いかにも簡単そうですが、実際やってみるとこれが大変なのです。飼い主さんが……
この除去食試験を成功させるためには、「2ヶ月間、除去食と水以外一切口にしない!」という鉄のルールがあるからです。
もし除去食期間中に、「ちょっと、ほんの少し、パンの耳をあげよう。欲しがるから……」というようなことがあったら、その時点から再び除去食試験をやり直さなくてはならない、とても飼い主さんの忍耐力が要求される検査なのです。
最近では、とても高品質の除去食が手に入るようになったので、もし慢性的な痒みが気にある場合には動物病院に食餌の相談されてみてもいいかと思います。
本日は猫さんの心筋症についてお話しさせていただきます
と始めておいてなんですが、犬のお話からさせていただきますね。。。
犬の心臓病の多くは僧帽弁閉鎖不全症(いわゆる弁膜症)で、高齢になってから発症することが多く、心雑音が発生しその強度と重症度がよく相関する病気ですので、動物病院に来院していただいた時の身体検査で指摘されて比較的早期に発見し対応できることが多い病気です。
これに対して猫で最も多い心臓病は心筋症です。(肥大型心筋症、拘束型心筋症、不整脈源性右室心筋症、拡張型心筋症など)
心筋症は心臓の筋肉の病気ですので心雑音を伴わないことも多く、身体検査だけで発見することが難しい病気です。また、犬の弁膜症と異なり、1歳未満の若齢から発症することも少なくありません。若くて元気、身体検査上も異常が無いからといって否定できる病気では無いわけです。
それゆえ、手術を受ける際に偶発的に見つかったり、手術後に心不全を発症したり、突然呼吸困難となり、心臓の検査をしたら心筋症だったなど進行してから発見されるということも少なくありません。
では早期に発見するにはどうしたら良いのでしょうか?
猫の心筋症を診断するには胸部レントゲンや心電図検査でも難しいため、やはり心エコー検査を受けていただくのが最も良いです。
この病気にかかりやすい猫種としてメインクーン、ラグドール、ブリティッシュショートヘアー、ペルシャ、ノルウェージャンフォレストキャットなどが報告されています。また、メスよりもオスの方が多い(オスの割合が70%程度とする報告がほとんどです)と報告されています。
少なくともこれらの猫種やオスにおいては病気の早期発見早期治療のためにも、若い時から年に一度程度心エコー検査を受けていただくことをお勧めいたします。
心筋症に限らず呼吸が早い、失神してしまう、咳が出るなど心臓病が疑われる症状がある場合にはお気軽にご相談ください
皮膚病の診察をしていると「この皮膚病は人にも感染しますか?」と質問を受けることがあります。
ほとんどの皮膚病は人には感染することが無いのですが、中には種の壁を超えて人にも感染する病気もあります。
その代表的な病気の1つが「カビ」です。
「皮膚糸状菌症」が正しい呼び方ですが、この病気は何かと厄介な病気です。
それは、
・動物は感染してそれほど症状が出ない事がある(得にネコ)
・しかし、人間に感染すると症状がひどいくて、治りにくい
・動物からカビが消えても、部屋中にカビの胞子というものが撒き散らされているので、完全にキレイにするのが大変
・そして、診断が難しい
私が大学病院の皮膚科に所属していた時に教授から「カビがちゃんと診断できたら皮膚科医」と言われた事がありますが、確かに顕微鏡を見て「これはカビです!」と自信を持って言い切るまでには修業が必要でした。
カビは赤ちゃんのイヌやネコに感染していることが多いので、飼い始めたばかりの時に、ちょっとでも毛が抜けている部分があったら、人間の皮膚を守る為にも動物病院を受診することをオススメします。
芝溝街道沿いにあります、図師大橋の交差点にある、
犬の足跡のマークの看板(オレンジ)が目印です。
また駐車場は10台完備しております。
受付時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日/祝 |
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